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ー軽貨物の車両メンテナンス完全ガイド|稼働率を落とさない実践チェックー

2025年10月17日

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点検の基本方針と法定整備

軽貨物の車両メンテナンスは「日常点検」「定期点検」「法定点検」を組み合わせて、稼働率を最大化することが目的です。売上は走行距離に比例しますが、無計画な運用は急な故障や事故につながります。まずは点検の考え方を共有し、だれが・いつ・何を・どう記録するかを標準化しましょう。

日常点検のポイント

毎日の始業前に5分だけでも点検を行います。チェック項目の例は以下の通りです。
– タイヤ空気圧と摩耗、石噛みの有無
– ブレーキ液残量、ペダルの踏み応え
– エンジンオイル量とにじみ
– 冷却水の量、リザーバータンク
– ワイパーゴム、ウォッシャー液
– ライト類(ヘッド、ブレーキ、ウインカー)
– バッテリー端子の腐食、始動性
– 下回りのオイル漏れ、異音
– メーター警告灯の点灯
– 荷室の固定具

週次・月次の定期点検

週に一度はタイヤの偏摩耗を目視し、月次では溝深さ、ブレーキパッド残量、各ベルトの張り、エアエレメントの汚れを確認します。合わせてボルトの増し締め、ドア・スライド部の潤滑も行いましょう。

法定点検と記録の残し方

12か月・24か月の法定点検は認証工場やディーラーで確実に実施し、点検整備記録簿を保管します。点検日・走行距離・交換部品・次回予定を台帳とアプリの両方に記録しておくと、引継ぎや売却時の価値にもつながります。

点検だけでなく、消耗品の交換サイクルを把握することで、計画的に車両を止める“攻めのメンテナンス”が可能になります。次は主要部品の交換目安とコスト最適化の考え方を整理します。

消耗品の交換サイクルとコスト最適化

軽貨物はストップ&ゴーが多く積載もあるため、乗用車より消耗が早い傾向です。使用環境を基準に「距離」「期間」「状態」の三点で判断し、先送りせず計画交換を徹底しましょう。

エンジンオイルとオイルフィルター

オイルは5,000〜7,000kmまたは3〜6か月を目安に。過酷条件では3,000〜5,000kmでの交換が安心です。フィルターはオイル2回に1回交換。粘度はメーカー指定を守り、冬季や高走行には高温粘度の安定した種類を選びます。

タイヤ管理(空気圧・溝深さ・ローテーション)

空気圧は毎週チェックし、適正値±5%以内を維持。溝が3mmを下回ると制動距離が伸びます。8,000〜10,000kmごとのローテーションで偏摩耗を抑え、荷重のかかる後輪を重点監視しましょう。

ブレーキ(パッド・フルード)

パッド残量は月次で確認し、3mmで交換準備、2mm以下は即交換。フルードは2年ごとを基本に、ペダルがスポンジーなら早めの交換を。

バッテリーと電装

短距離多用の車両は充電不足になりがちです。電圧と内部抵抗を測定し、始動性が落ちたら前倒しで交換。端子の腐食は清掃し、保護グリスを薄く塗布します。増設電装はヒューズ容量と配線保護を確認します。

ワイパー・冷却水・ベルト類

視界確保のためワイパーは半年〜1年で交換。冷却水は2〜4年を目安にし、減りが早い場合は漏れ点検を。補機ベルトはひび割れや鳴きがあれば早期交換し、テンショナーの劣化も確認しましょう。

ここまでが「壊れる前に替える」ための基本です。さらに故障率を下げるには、日々の運転と積載の工夫が重要です。次の章では運転習慣がどの部品寿命に効くのかを解説します。

故障を減らす運転と積載のコツ

軽貨物の車両メンテナンスは運転行動で差が出ます。乱暴な操作や不適切な積載は、タイヤ、ブレーキ、ミッション、サスペンションの寿命を縮めます。

積載バランスと固定

最大積載量を守るのは当然として、前後左右のバランスを整え、重い荷物は低く前寄りに。ラッシングベルトで荷崩れを防ぎ、段差通過時のショックを最小化します。

アイドリングと暖機の考え方

長時間のアイドリングは燃費悪化とカーボン蓄積を招きます。冬場は走行しながら適温まで上げる“実走暖機”を基本にし、待機はアイドリングストップを活用します。

発進・停止・シフト操作

急加速・急減速はATの発熱とブレーキ摩耗を増やします。発進は半テンポゆっくり、停止は早めにアクセルオフ。MTは半クラを長引かせず、ATは停車中のNレンジ多用を避けます。

路面・季節への適応

雨天は車間を長めに取り、轍や白線上の滑りを避けます。夏は冷却系、冬はバッテリーとタイヤの性能低下を見込み、点検頻度を上げます。スタッドレスの履き替えも計画に入れましょう。

運転と積載の工夫が定着すれば、整備頻度が適正化され、部品寿命が伸びます。次に、日々の記録とKPI管理で“再現性のあるメンテ”へ進めます。

メンテ記録と在庫・費用管理

稼働台数が増えるほど、記録と在庫管理が効いてきます。紙とアプリを併用しつつ、誰でも同じように入力できるフォーマットを整えると、車両入替や担当交代の際にも迷いません。

記録フォーマットの例

「日付/走行距離/実施内容/使用部品/次回予定/担当者/異常の有無」を1行で残します。写真は部品箱とメーターを同時に写すと後追いが容易です。レシートは月末にまとめて撮影・添付し、原価計上と紐づけます。

予防保全のKPI設定

「1,000kmあたりの整備費」「オイル交換遅延台数」「タイヤ残溝3mm未満の放置日数」など、行動につながる指標を設定します。遅延が出た原因(部品欠品、担当多忙、外注待ち)を分類すると、改善策の優先順位が明確になります。

消耗品在庫と発注タイミング

オイル、フィルター、ワイパー、電球、タイヤなどは最小在庫点を決め、残数が閾値を下回ったら自動発注。タイヤは同一ロットをまとめ買いし、製造週をそろえると車両間の挙動差が減ります。

管理体制が整えば、整備の外注と内製の使い分けも判断しやすくなります。最後に、コストとダウンタイムを抑える体制づくりを確認しましょう。

外注と自社整備の使い分け

軽貨物の車両メンテナンスでは、スピードと品質のバランスが鍵です。得意領域は内製化し、重整備や保証絡みは外注で確実に仕上げるのが基本方針です。

工場選びのポイント

ディーラーは技術と保証に強み、独立系認証工場は価格と柔軟性に優れます。代車の有無や営業時間、部品供給の速さを比較し、提携先を2社以上確保しておくと安心です。

出張整備・モバイルメカニックの活用

オイルやバッテリー交換、ライト球切れなどは現地対応が可能です。車両を動かさずに作業できるため、配送の隙間時間で整備が進みます。安全確保のため、平地・風通しの良い場所で作業できるよう駐車計画も見直しましょう。

保証・保険とメンテの連携

新車保証や延長保証が有効な期間は、指定部品や作業の条件に注意します。車両保険・ロードサービスの内容(レッカー距離、代車特約)も把握し、トラブル時の初動を標準化しておきます。

軽貨物の車両メンテナンスは、点検・交換・運転・記録・体制をひとつのサイクルにすることで、稼働率と安全性、そして収益性が向上します。まずは日常点検とオイル交換、記録フォーマットの統一から着手し、1か月で「遅延ゼロ」を目標に運用を回してみてください。

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